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Building is easier, generating value is still hard — AI Engineer World's Fair 2026 参加レポート

2026-07-06

はじめに

2026 年 6 月 29 日から 7 月 2 日にかけてサンフランシスコで開催された AI Engineer World's Fair 2026 に参加しました。

今回は NY 在住の私に加え、Belong のエンジニアリングチームからも 1 名が カンファレンス渡航補助プログラム を利用して日本から参加しました。

本ブログでは、カンファレンスの概要と会場の様子、印象に残ったテーマについて共有します。 個別のテーマの深掘りは、続編の Agent Loop と Evals の潮流Software Factory とは何か で公開しています。

AI Engineer World's Fair について

AI Engineer World's Fair は、 AI Engineer (Latent Space) が主催する、AI エンジニアリングに特化した技術カンファレンスです。 「世界最大の技術特化型 AI カンファレンス」を掲げており、 2026 年は 6 月 29 日から 7 月 2 日の 4 日間、サンフランシスコの Moscone West で開催されました。

規模としては 29 トラック、300 スピーカー、100 の展示パートナー、6,000 人以上の参加者と、 AI エンジニアリングに絞ったカンファレンスとしては圧倒的なボリュームです。
初日はワークショップ、2 日目以降はキーノートと並行トラックのセッションという構成で、 Evals、Context Engineering、Sandbox & Platform Engineering、Harness Engineering など、 トラック名を眺めるだけでも今の AI エンジニアリングの関心領域が一望できるラインナップでした。

私は 2025 年に NY で開催された AI Engineer Code Summit にも参加しており、 同じ主催者のイベントですが World's Fair への参加は今回が初めてです。 Code Summit がコーディングエージェントにフォーカスした比較的コンパクトなイベントだったのに対し、 World's Fair はロボティクスからヘルスケア、金融まで、AI エンジニアリングの応用範囲全体をカバーするお祭りのような位置付けで、 名前の通り「World's Fair(万博)」らしい賑やかさでした。

会場の様子

AIEWF 会場
AIE のモニュメント
Expo の様子
Expo の様子
ブレイクアウト会場の入口
ブレイクアウト会場の入口
AWS オフィスで行われたサブイベント
AWS オフィスで行われたサブイベントの様子

会場となった Moscone West は 3 フロア構成で、キーノート、ブレイクアウトセッション、展示、ワークショップが 1 つのロビーでつながっており、セッションの合間に展示を回りやすい動線でした。 展示エリアには AI エンジニアリング領域のスタートアップから大手クラウドベンダーまでが並び、 どのブースでもエージェント、サンドボックス、評価基盤といったキーワードが目に入ってくるのが印象的でした。

印象に残ったテーマ

個別のセッションの深掘りは別記事に譲りますが、会期を通して感じた大きな流れを 3 つ挙げます。

1 つ目はエージェントの実行環境です。 Sandbox & Platform Engineering のトラックを筆頭に、 「エージェント本体(モデルやプロンプト)ではなく、それを安全に動かす環境こそが課題」という論調のセッションが目立ちました。 コーディングエージェントが本番のコードベースやインフラに触れることが当たり前になった今、 その隔離と権限管理が共通の関心事になっていると感じます。

2 つ目は自動化と Loop です。 エージェントに単発のタスクをこなさせる段階から、 継続的にタスクを回し続ける仕組み(ループ)をどう設計するかへと議論の重心が移っており、 "The Great Loops Debate" のようにループそのものを正面から扱うパネルも組まれていました。

3 つ目は Evals / Verifiers、つまり AI の結果の評価です。 Evals は独立したトラックが立つほどのボリュームがあり、 ベンチマークによる静的な評価から、本番トラフィックを使ったクローズドループの評価や、 出力の正しさを検証する Verifier の設計へと話題が広がっていました。 生成が速く安くなるほど、その結果を評価する仕組みの重要性が増すという構図は、会期全体で重要なテーマだったと思います。

Building is easier, generating value is still hard

Building is easier, generating value is still hard.

本記事のタイトルは、2 日目の Anthropic のキーノートで語られたこの言葉から取りました。 奇しくもこの日は Anthropic の「Claude Fable」が復活した日でもありました。

このフレーズを選んだのは、私もこの言葉には共感したためです。 何か動くものを作ってみることは、AI によって圧倒的に簡単になりました。 一方で、作ったものからアウトカムを生み出すことは依然として難しく、 むしろ「作れてしまう」がゆえに、手段への執着が成果を阻害する場面も増えていると感じます。

キーノートではこの先の姿勢を「being unreasonable」と表現していました。 「良いものを、速く、安く」のうちどれかを諦める、といった私達が暗黙のうちに受け入れてきたトレードオフは AI によって前提から崩れつつあり、優先順位を付けてどれかを選ぶのではなく「全部やる」という選択肢を目指せるようになりつつあります。
だからこそ、これまでの延長線上で考えるのではなく、あえて unreasonable に行動してみるような、 私達自身の行動変容が必要になっているのではないか。 「be less reasonable」という言葉で締めくくられたこのキーノートに、そんなことを考えさせられました。

このキーノートで語られた「Knowing your unknowns」は Claude Blog にも掲載されていました。 自身の未知の部分をファウンデーションモデルの知識を活用して引き出すという考え方は、 Findy AI Engineering Summit Tokyo 2026 の登壇 (資料) で触れた「Checkpoint の質を左右する 2 つの基本原則」や「未知の知の記録」とも関連します。 自身が知っている・理解できていることと、そうでないことのメタ認知を意識的に行うことが、AI を活用した課題解決の精度を高める上で重要です。

余談: サンフランシスコについて

私自身、サンフランシスコの訪問は 2018 年以来でした。 COVID 以降、治安が悪化しているという話を多く聞いており (知人が出張中にスーパーで強盗と居合わせたという話も聞いていました)、 少し身構えて訪問しましたが、実際に歩いてみると観光地やカンファレンス周辺は比較的安全に感じました。

AI 系企業が多く集まっているため、AI の広告が街のいたるところで見られたのが特徴的でした。
良くも悪くも規制などを考えるより、「とりあえず怒られるまでやってみる」や 「失敗したらまたやれば良い」というような考え方が、この場所から多くの仕組みが生まれる要因になっているのだろうとネットワーキングの会話の中でも話していました。

まとめ

今回は AI Engineer World's Fair 2026 に参加し、 AI エンジニアリングの最前線のテーマである、エージェントの実行環境、自動化と Loop、そして評価を肌で感じることができました。 Software Factory や Evals といった個別のテーマについては、 Agent Loop と Evals の潮流Software Factory とは何か で深掘りしています。

冒頭で触れた通り、Belong では カンファレンス渡航補助プログラム により、エンジニアが国内外の技術カンファレンスに参加するための渡航支援を行っています。

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